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君がスタンダード

向上心のゆくえ

わからなかったなあ。このままわからないままなのかなあ。

 

この書き出しだと、どうして辞めないといけなかったのかとか、そういう類についてのことを考えているように見えるけど、そんなことに関心はてんでまるでなくて、

彼のなにが、アイドルとしての「向上心」を奮い立たせてきたのか、それが、ずっとずっとわからなくて。わたしが、例の一報をみて、いちばんさいしょに思ったのが、「あ、これで、この疑問が解けないままおわってしまうのか」ということ。

 

でもそれがわからなかったから、長妻くんから離れられなかったんだろうなと思う。

長妻くんは、長妻くんを最後まで決めつけなかったから。

どんなひとかわからなかったから、すこしでもわかりたくて、ずっとみていたかった。

まるでわたしにはわからないことだらけで、だから、おもしろかった。

 

彼をすきになって、少しした頃から、ステージで見たまんまの彼のかっこよさ、かわいさを楽しむだけでは満足できなくなって、それから彼のことばのひとつひとつを意識して拾い集めるようになった。その"見たまんま"に、「昔はこうだったけど、今はこうだから」「この行動は、彼のこういう性格や発言に基づいているであろうから」という勝手な付加価値をじぶんでつけるという楽しみ方をすっかりするようになってしまって、それに気づいたときには、まるで純粋なファンではないなと反省したけれど。でも、そうしたくなるほど、やっぱり長妻くんはわたしにとって、ものすごく探りたくなるひとで、たくさんのふしぎな魅力に包まれているひとで、多分これは適切な表現ではないけれど、研究するように見るのが楽しかった。この応援のしかたに、わたしはいつか卒論でも書くのかと笑っていたけど、卒論は書かずに済んだ。結論がわからないままだからね。

 

とにかく、上記のように、わたしは長妻くんとはどんなひとなのかという、永遠に正解にたどり着けないことを、それでも考えることを趣味として生きてきたので、わからないけどわからないなりに途中まで考えたことを、最後にことばにすることぐらい、してもいいかなと。わたしは、わたし比で、長妻くんのことをすきになってから、まっすぐに長妻くんを応援し続けてきたと自負しています。

 

わからなかったこと、そのいち。まず、彼の原動力がわからなかった。彼が「ジャニーズのアイドル」に対する強い考えを話したことは一度もなかったように思う。もともと、母親きっかけの入所だし、それはよくあることとしても、そのあと「ジャニーズ」がすきなのだろうと感じたこともない。「デビュー」のことばもきいたことはわずかしかない*1し、ファンのために、ということばをきいたことも、多くはない。*2

しかし長妻くんは、中学時代全く仕事がなくて、事務所にいれた当の本人に「もういいんじゃない?」と言われても、この仕事がやりたかったので諦められなくてずっと連絡を待っていたと言っていた。*3

それは、「ダンスが好きだと気付いたから」という理由のもとだったようだけど、そこだけにこだわりがあるようには思えなくて。でも、長妻くんはそのあとも「この仕事を一生続けていくこと」を夢としていたし、どんな環境にいても「頑張ります」「成長します」と言い続けることをやめなかった。

 

『悩んだりつらいときもあるかもしれないけど、何ごとも最後までやり遂げたら得られるものがあると思ってます。ボクもがんばるので、いっしょにがんばりましょう』*4

 

たぶん長妻くんは、最後までやってみることそのものに、人間的な火がついてしまったのかな。

長妻怜央という人間はどこまで成長できるのか、それをこの仕事にかけてみてみたかったのかな。

アイドルとしてキラキラ輝くじぶんでいたいという欲ではなく、アイドルを通してキラキラ磨かれていくじぶんがみたい、というような。

 

『全ての仕事において全力を尽くすのは当たり前で、どう結果を残せるか。どう成長できるかも大切』*5

『(2015年の仕事に対して)もちろん全て全力だったけど、それで成長したのって数センチとか数ミリだと思うんです。だからといって頑張らなかったら何も変わらないし、成長もしない。そのわずかな成長を長く続けることで、何かひとつでも力になれればいいな』*6

『だって怖いの、(汗をかかずに)ふつうでいられるってことは、俺、がんばってないんじゃないか、って』*7

『撮影のたびに成長できるので、終わるころにはどうなっているのか、想像もつかない。僕も楽しみです。今の何十倍も実力をつけていきたいと思います』*8

『乗り越えた先にちょっと成長できた自分がいるのかもしれないと思うと、毎日の稽古がとても楽しい』*9

 

こんなようなことを、何度も、何度も言っていた。ほかにもあるけど、書ききれないほど。こちらがなぜそんなに?そこまで?と思うほど、長妻くんの根底には常に「がんばる」ことがあって、そしてそれに満足した姿は見られなかったように思う。がんばることで、成長する。それこそが、長妻くんの生きる目標なのだろうか。

じぶんの精神を、そしてそれに付随してくる技術を磨くために、こんなにも身を削って、強い信念をもって、新しい世界に飛び込びながら、ストイックに努力を重ねて。どうしてそこまでするのか、いかにがんばらないかをテーマに生きてきたようなわたしにとって、あまりに考えられなくて、理解できなくて、わからないから、ものすごく興味があったし、素直に尊敬してやまなかった。

そんな長妻くんを5歳児とか大型犬とか、わたしは思ったことはない。思えるはずがない。まあ、アイドルなんだから、好きの多様性はあってしかるものだと思うけれど。

 

あと、わからなかったこと、もうひとつ。長妻くんには、長妻くんの世界観はなかった。こだわる「もの」がなにひとつなかった。どんなものがすきで、どんなものがやりたくて、というのに触れる機会がほとんどなかった。というのも、ユニットに入ってからも、結局、長妻くんが考えたと明らかにされた作品を、ひとつも見られないままでおわってしまったから。何度か、じぶんがメインのパフォーマンスを披露する機会もあったけれど、それらは先輩たち主導だったろうし、16年のクリエで、長妻根岸基前田谷村で「じぶんたちで考えた」と言っていた5人のパフォーマンスも、わたしは見られなかった。まあそれをみても、ここが長妻くんが考えたところだろうとわかるはずもないけれど。もともと、近くにいるひとの影響をものすごく受けるひとだから*10、それもあって、長妻くんがはじめとなって生み出されたとわかるものってなかった。

見たかったなあ、長妻くんが考えた振付とか、演出とか、曲とか。唯一、30秒だけ披露したソロ曲が、玉森くんの『Crazy My Dream』で、演出も玉森くんのDREAM BOYSをそのまま再現したもの。さいしょのソロ曲は絶対に玉森くんの曲だろう、とは簡単に予想がついていたけれど、それがさいごのソロ曲にもなろうとはね。

でも、長妻くんはそれをやり終わったあと、「夢がかなった!玉森くんに伝えなきゃ」って言って*11。わたしはことばの通りにそれが長妻くんの夢のひとつであったと信じているし、じぶんの憧れに対してのまっすぐすぎる敬意を感じて、それこそが「長妻くん」の表現であったとも言えるのかもしれないな。

 

そう、だからきっと、長妻くんが表現したかったものは、長妻くんのからだやあたまの中の世界の一部分、つまりスキルとセンスではなくて、長妻くんそのものなのかなと思う。

あの素晴らしく端正な顔も、じぶんでも「長い」と言っていた手足も、アクロバットも、ダンスも、ピアノも、演技も、愛嬌も、ユーモアも、歌声も、こうして魅力的な要素の枚挙にはいとまがなくて。それらをなんでも、どれでも、「がんばる」ことで掴んできたと感じるのに、長妻くんは決してじぶんでじぶんをキャラクタライズすることはなかった。だから当然わたしも「長妻くんといえばこれ」「長妻くんは一言でいうとこういうひと」という表現は出来なかったし、したくなかった。長妻くんは、長妻くんでいることが何よりのこだわりで、がんばる長妻くんのすべてがいつだってひとつの作品だったのかな、と。ものすごく、アイドルらしいアイドルだな。スペシャリストではないし、プロフェッショナルでもないかもしれないけど、おかげで、彼がこちらにアイドルとしてみせてくれるすべてを、すきになってしまった。

 

ここまで、長妻くんはじぶんのために、終わりのない自己実現のためにアイドルをしていたのだろうか、というようなことをずっと書いてきたけど、長妻くんは「人を笑顔にする星のもとにうまれてきた」と自己紹介していた*12ので、それだから、じぶんよがりにならずにここまでファンをつけてきたんだろうなと思う。天職ってことばを思いつくのはかんたんだけど。じぶんのためにがんばることで、ひとにも楽しんでもらえるって、もう、みんなしあわせじゃん。長妻くんも、わたしたちも。

 

あと、みてきて、おもしろいなと思うところをざっと。謙虚で、基本的に自己評価は低くて、人見知りというのは本当で(だって、向こうからきてくれたひとにしか甘えないし、じぶんのことを好きなんだろうとわかりきっているひととしか話さないから*13)、好いてくれるひとのことはとことん好きで、家族がものすごく好きで、ひとの意見に対してそれは違うと反論することがなくて(反論はしないけどじぶんの見解や弁解は言う)、ひとを下げるようなことはほとんど言わなくて、同い年には意外と強くあたって、にこにこ話を聞いているようで聞いてないときが案外多くてそしてそれがわかりやすくて、ひとの意見をこれでもかというぐらい受け止めて否定せずにやってみて、ほんとうのライバルはきっと自分自身で、実はすごく賢くて、空気読めて、天然じゃなくて、狙ってボケられるぐらい頭の回転がよくて。

長妻くんって、長妻くんがじぶんにかける魔法は「がんばること」だけで、それ以外でじぶんのことを飾ろうとしないから、おもしろいよね。純真で、素直で、どうしても愛さずにはいられないようなひと。

 

『死ぬまでゴールはないからやれるところまでやりたい』*14

 

うーん。もっと疑問に思いたかったし、やっぱり、こたえに近づきたかったなあ。どうしてこんなにがんばるんだろう、どうしてこんなにがんばれるんだろう、どうしてこんなに強いんだろう、どうしてこんなにまっすぐなんだろう、どうしてあんなに楽しそうなんだろう、どうしてあんなにかっこいいんだろう、どうしてあんなにかわいいんだろう、なにが彼をそこまでさせるんだろうって、もっともっと思いたかった。

でも、長妻くんは、長妻くんにとって永遠に未完だから、ほんとうに、ぜったいにこたえが出ることはないんだけど。だから、意味のない疑問なんだけど。それでも、追いかけ続けたかった。彼の向上心のゆくえを、みていきたかったな。

 

 

この文章は長妻くんに届けるために書いているわけでは決してないので、ありがとう、とか、おつかれさま、とか、そういう彼へのことばを残すようなことはしないけど、

応援し続けてよかったと思えるような僕になってみせます、と言ってくれていた長妻くんのことを、応援し続けて、本当に、ほんとうによかった。うん、よかった。

 

このわたしの文章に対して、色々思うことがある人もいると思うけど、ここまで精神をさらけ出してくれた、すべてを愛することを許容してくれたアイドル長妻怜央くんだったから、色々思っていいと思います。これは、わたしの楽しみ方であり、これが、わたしの楽しみ方でした。

 

*1:でも、「Love-tuneで世界進出!」を目標と言っていた雑誌もあったよ

*2:ファンサだって、どちらかというとじぶんが楽しいからやっているように見えた

*3:2014年と2015年に話していた、2013年ごろの回想

*4:2015年秋

*5:2016年秋

*6:2015年冬

*7:2016〜17年冬

*8:2015年秋

*9:2017〜2018年冬

*10:これ、ものすごく観察しがいがあって楽しかった。人々がもつ長妻くんのダンスの印象は、だれといっしょにやっていた時代を主に見ていたかでぜんぜんちがう

*11:2017年冬。めちゃめちゃかわいかった

*12:2017年秋

*13:玉森くんがものすごい例外なだけ

*14:2016年冬